大判例

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仙台高等裁判所 昭和33年(う)9号 判決

被告人工藤豊が昭和三十二年八月十六日附第一回起訴状記載の公訴事実について鶴岡簡易裁判所裁判官の発した勾留状により同月十七日勾留せられたこと。及び右起訴事実並に同年九月二十一日附第二回起訴状記載の公訴事実について同被告人が同年七月二十九日以降鶴岡警察署司法警察員並に山形地方検察庁鶴岡支部検察官の取調べを受けているがその間不拘束のままであつたか否かの点についてこれを判断する資料の存しないことは記録に徴し洵に所論のとおりである。従つて若し同被告人が所論の如く取調べの当初第二回起訴に係る全部又は一部の被疑事実について逮捕状並に勾留状を執行せられ一旦釈放された後第一回起訴の公訴事実について身柄不拘束のまま公訴が提起せられたものと仮定するならば刑事訴訟規則第百六十七条第一項後段に則り原審検察官は第二回起訴後速やかに右逮捕状並に勾留状を原裁判所の裁判官に差出すべき義務あること勿論である。しかし最高裁判所が昭和二十八年十月十五日の改正により(同控訴趣意書中昭和二十六年の改正と記載している点は誤記と認める)同条項後段を規定した趣旨は専ら被告人より刑事補償の請求がなされた場合の便宜を考慮したものと解すべきであるからして仮に所論の点において同条項後段に違背した事実があるとしても未だ右の一事をもつては判決に影響を及ぼす訴訟手続の法令違背があると断ずることはできない。論旨は理由がない。

(裁判長裁判官 松村美佐男 裁判官 松本晃平 裁判官 三浦克己)

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